MENU

2019-01-01から1年間の記事一覧

書評ー悪の行方ー宮部みゆき著「ペテロの葬列」

模倣犯以来、宮部みゆき氏の作品に期待を寄せてきたが、その期待は大きく裏切られることになる。もちろんよい意味でだが。 今多コンツェルンという超大企業に務める杉村三郎は、ある日バスジャックに巻き込まれる。そのバスジャックの犯人が出した奇妙な要求…

書評ービジネスマンとテロリストーエリック・アンブラー著「グリーン・サークル事件」

えらく刺激的な表題をつけてしまった。しかし、全てを読み終えた後ならきっと腑に落ちるはずである。これは1人のしがないビジネスマンがひょんなことからあるテロリストと交流を持つことになり、そのテロを阻止する話だと。 時代は1970年代、地中海地方で実…

書評ー涙は人のためならずー宮部みゆき著「孤宿の人」

ある程度の年齢になってくると、作り物の作品で泣くことは滅多に泣くなってくる。それは、ひとえに経験値が増えているために「はじめての体験」、「見たことないような作品」がどんどん減っていることが原因である。そんな純粋な涙をしばらく流していない私…

なぜ輸血をしないのか~君にとっても身近な話~

エホバの証人=輸血をしないカルトっていうのは一般的なイメージ。では、なぜ輸血をしないのか。先日目から鱗な話を聞いたので忘備録代わりのまとめ。 いわゆる日本にも神聖な場所っというのはたくさんある。最近話題になった例だと土俵の女人禁制問題、島全…

ハードルが下がった状態で見た2019地区大会の劇

聖書劇が手作り感あふれる出し物から予算のかかった映像媒体になって数年経つ。 その映像媒体になって今まで感じたことのない眠気を感じるようになったのは私だけではないはずだ。そんな映像媒体での聖書劇もようやく板についてきたようで、中でも今年の作品…

書評ー金の切れ目が縁の切れ目ースコット・フィッツジェラルド著「グレート・ギャッツビー」

華麗なるギャツビーをはじめ数多く映画化されている不朽の名作、しかし、その私の中ではその高いハードルを越えることはなかった…… 物語の語り手は、戦争帰りのニック・キャラウェイという青年、その彼が巨万の富を持つギャッツビーなる人物に興味を抱くこと…

書評ー悲しみは雪のようにー東野圭吾著「ある閉ざされた雪の山荘で」

この本を読んで、ある違和感にきずいた人は相当なミステリー好きである。もちろん、その違和感に全く気付かなかった私のようなにわかミステリー好きでも十分楽しめたりもする。 事件の設定は、とある山荘に舞台稽古と称してある7名の男女が集められ、そこで…

書評ー1冊で2回楽しめる小説ー雫井脩介著「犯人に告ぐ」

メインキャラよりサブキャラに感情移入してしまう魅力的な人物が出てくる小説は何冊かあり、この小説に出てくる学生時代に惚れた女に何とか振りまいてもらおうとあの手この手を試みた挙句、失敗に終わってしまう植草のようなキャラクターはそんな数少ない一…