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書評ー動機ー東野圭吾著「悪意」

 特別何かをされたわけではないのに、いけ好かないやつは確かに存在する。

では、その人を攻撃する最も効果的な方法は何か。それは、その人の名誉を

傷つけることである。殺しは一瞬だが、貶められた評判はずっと残る。

 そんな恐ろしい発想を具現化した小説である。この犯人にとっては、自分

がつかまるかどうかはどうだっていい。ただただ相手の評判を地の底に落と

すのが目的なのである。

 「じつに驚くべき発想だと思います。殺人を犯す前に、まず動機を用意す

るなんて」

 -出典:東野圭吾著「悪意」,講談社,341