MENU

書評ー麒麟がくるのアフターストーリーー三谷幸喜著「清須会議」

 大河ドラマが好発進しているが、その後の物語を楽しめるのが「清須会議」である。

信長を討った光秀だったが、その光秀も秀吉に討たれてしまう。果たして織田家はどうなってしまうのか。だれがその後のキャスティングボードを握るのか。その行く末をうらなうのが有力大名・武将が集って清州城で行なわれた清須会議である。

 織田信長の次男の信雄、三男の信孝、信長の妹のお市も交えて行われる権力争いはまさに見物。これを読めば秀吉が天下をとるための下地がすでにこの会議で出来上がっていることがわかる。しかし、だからこそそんなずる賢い秀吉をなんだか好きになれない気持ちにもなってしまう。

 最終的に秀吉がこの会議に勝利する要因を作った会議の議長の丹羽長秀の言葉が忘れられない。

 

  「この釈然としない思いは何なのか。私は、何かとんでもない間違いを犯したのではないか。」

 -出典:伊坂幸太郎著「ゴールデンスランバー」,新潮文庫,669