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書評ー五十嵐律人著「法廷遊戯」ー中世然とした日本の司法へ愛をこめて

 再審請求が開かずの扉だったり、起訴後の有罪率が95%以上だったりと司法については、門外漢な私にも漏れ伝わってくるぐらい問題だらけの日本の司法制度、そんな日本の司法制度の問題点を指摘しつつもゲームという枠組みでシニカルに繰り広げられるのが本作品だ。やられたらやり返すやら無辜の救済やら?な言葉が出てきても、自然にその意味を説明してくれているので、法律の知識が全くなくても楽しめる内容になっている。

 主人公たちがかつて関わっていた犯罪行為、それによって生まれた予期せぬ悲劇。そして、主人公たちがかつて保護されていた施設で行われた犯罪行為。一見すると重たい内容だが、さくっと読めてしまうのは著者の文章力と法廷をゲームに例えているからだろうか。

 映画化もされる本作品、必見である。