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書評ー江上剛著「野心と軽蔑、電力王・福沢桃介」ー全JW2世が読むべき本

 福澤桃介と聞いてピンとくる人はなかなか教養のある人だろう。かの福澤諭吉の娘婿で関西電力中部電力の礎を築いた男だそうだ。

 しかし、礎を築くといっても財がなければ不可能だ。彼がその財を成した方法は、来年度から実質nisaが恒久化され、全国民を投資へいざなおうと政府がもくろんでいる現在、読んで損はないだろう。そして、これを機会に投資=詐欺といった短絡的な思考は捨てることをオススメする。

 話が横道にそれたが、福澤諭吉の言葉の一つに「独立自尊」という言葉があるそうだ。意味は辞書などによると、人の力に頼らずに独力で事を行い、自己の人格・尊厳を保つことだそうだ。独立と聞くと純粋JW2世からすると独立の精神とかネガティブなワードに聞こえがちだが、必ずしも全否定すべきではない。なぜなら自分の必要はかなりの程度自分で賄う必要があるからだ。そして、この独立自尊という精神は、特に幼いころからエホバに頼ることを教えられているJW2世にかけている精神のようにも思える。それが最低限の自尊心を保つ点でマイナスになっているのなら非常に残念だ。

 そして、この独立自尊の生き方がどういう生き方かを体現しているのが福澤桃介である。他人に寄生する生き方とは全く無縁、もし、仕事や恋愛でつまずいたが再びやり直したいと思った人がいるなら大いに参考になるだろう。

 虚実あいまみれる現在において、実はしっかり地に足のついた生き方を教えてくれる本なのである。