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今シーズンNo.1の良ドラマ~イチケイのカラス~ビーチボーイズでもBOSSでもない彼がそこにいた

  何年かぶりかに月9を視聴している。(月9の言い方自体がもはや死語か……)

 自分が子どもの頃はいわゆる月9全盛期がやや盛り下がってきていたが、それでも注目されていたし、歴代ベスト10に入るような高視聴率をとったドラマもあったと記憶している。

 当時は月9=恋愛ドラマというのが鉄板だったが、だんだんとそれでは視聴率が取れなくなり、少し前は医療物のコードブルーをやったり、前シーズンも同じく医療物の監察医朝顔をやったりと他ジャンルへの進出が近年目覚ましい。

 そんな文脈のなかで登場したのが今シーズンのイチケイのカラスだ。「言わずと知れたHEROの裁判官版」と揶揄する声もあるが、個人的な印象はHEROからコミカルさを

少し抜いて、真面目成分を強くしたような印象だ。この辺りは今の世知辛い世相に合わせてきたのかもしれない。

 必見すべきはこれまでのイメージを覆す竹野内豊さんの演技だろう。一躍その名をとどろかせたビーチボーイズの彼でもチャラい上司を演じたBOSSの彼でもない。程よく肩の力が抜けた演技は、少なくとも私の中でのイメージとは全く違ったのでいい意味で面喰ってしまった。HEROならばキムタクに振り回される役を松たか子さんが演じているわけだが、今作では黒木華さんが演じていて、彼女の演技も竹野内豊さんい負けず劣らず秀逸なものだ。特に今週の強盗事件をおこした未成年の少年に投げかけた言葉は、演技とわかっていても彼女の苦悩が伝わってくる名シーンだった。

 脚本もいい意味で視聴者を裏切る展開を用意しつつも最後に救いのある話が多く、今のところ外れなしだ。

 HEROの二番煎じと思っている人にこそ見てほしい作品になっている。

 

 「ただ単に信じることは、知ることの放棄だからね」ー入間みちお(竹野内豊